手術後はじめてのリハビリテーション・離床時の看護について

学生さんが悩んでいたので再度学習しまとめてみました。
よかったら参考にしてください。
 

 

離床のメリットは?

 
昨今術後の早期離床というものが勧められています。
手術を行い次の日に歩行するということも珍しくありません。
では、そこまでして離床するメリットは何でしょうか…
術後の長期臥床は様々な面において良いとされており、多臓器機能症候群(MODS)・高血糖・栄養不良・全身性の衰弱する神経・筋肉合併症であるICU-AWなどの予防に繋がるとされています。
 

手術による生体反応

 

①神経・内分泌系反応

手術後に離床を行う前に手術後の身体的な変化について押さえておく必要があります。
今回は離床に関してがメインですので簡単に書きます。
まずは手術侵襲によって引き起こされる神経・内分泌系の動きを図1にまとめました。
 
図1

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②サイトカインによる反応  

しかし、術後引き起こされる生体反応はまだあります。それがサイトカインによって引き起こされるものです。

手術後のサイトカインの作用についても図2まとめてみました。
 
図2

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この様に手術などの侵襲によって組織が破壊されサイトカインが分泌されます。

このサイトカインによって全身に様々な機能不全が起きてしまいます。

例えば、視床下部に働きかけ副腎皮質刺激ホルモンを放出させたり・膵臓に作用しインシュリン分泌を抑制したりもします。

 

 

③侵襲(損傷)による代謝の反応

侵襲時には速やかな血糖値上昇という生体反応が起こります。
これは損傷した臓器へのエネルギー供給や血管内浸透圧を上昇させて組織間液を血管内に移動させ循環血液量の維持を目的とした反応です。
手術による侵襲が加わった数時間はカテコールアミンの影響を受けて血糖値が上昇されます。これを外科的糖尿病状態といいます。通常は手術侵襲が治ると正常化しますが、術前から糖尿病を合併している場合は糖尿病性昏睡に陥る危険性もあります。
 

離床時の看護について

①離床しても大丈夫かアセスメントする

離床をするのはどのような患者でもというわけではありません。
患者の状態をアセスメントし安全に離床可能か判断する必要があります。
 
離床開始基準の循環動態は下記の通りです。
  • 安静時の心拍数が50回/分以下または120回/分以上
  • 安静時の収縮期血圧が80mmHg以下(心原性ショックの状態)
  • 安静時の収縮期血圧が200mmHg以上または拡張期血圧120mmHg以上
  • 安静時より危険な不整脈が出現している (Lownの分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonT、モービッツ2型ブロック、完全房室ブロック)
以上に当てはまる場合は積極的な離床を避け、 原疾患の治療や評価を優先しアプローチを行った方が良いでしょう。(日本離床研究会HP参考) 

また、嘔気嘔吐がコントロールできないとき・呼吸困難時・めまいふらつきの改善がみられないときなども離床を行わない方が良いです。

以上に当てはまる場合は離床をするのは危険です。

 

②実際の離床の流れ

離床が行われるのは術後2~6時間後から行われます。最初は人工呼吸器関連肺炎の予防のためのギャッチUPから行い次第に上げていきます。

その後状態の変動がなければ端座位にし立位〜歩行訓練としていきます。

端座位にした際には座位が保持できているか、立位の際は膝が落ちたりふらつきがないかに注意します。このような場合には筋力低下も疑われ歩行したさいに転倒する危険性が高いことが伺えます。また、段階を進める前後にはバイタルサインを測定し、ドレーンの廃液量も観察します。

ドレーンの廃液量は離床することによって溜まっていた廃液が排出され量が一時期的に多くなることがあります。創部からの出血なのか?溜まっていた廃液なのか?を把握するためドレーン量だけでなく性状・色にも注意する必要があります。100mlを超えるような廃液であれば、医師への報告を行い必要時採血や画像検査を行うこともあります。

 

離床時の看護まとめ

いかがでしたでしょうか?

私も今回の記事を書いたことで抜けていた知識の再確認にもなりました。

少しでも参考になればうれしいです。では、また。