心不全治療薬ハンプ(カルペリチド)投与患者の看護と注意点について

おひさしぶりです。

今回は、循環器病棟でよく使う薬であるハンプ(カルペリチド)について再度復習も兼ねまとめてみました。

 

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ハンプとは

ハンプとはヒト心房性ナトリウムペプチド(hANP)であり、身体から分泌されるホルモンのことです!

心房性とあるように主に心房で合成、貯蔵され血中に分泌されます。

ハンプは急性心不全に対する治療として用いられる薬剤です。

 1瓶あたり約1800円と割と高価な薬です。

ハンプの効果

ハンプには2つの効果があります。

一つ目が利尿作用です。

しかし、ループ利尿剤(フロセミド)に比べると利尿効果は弱く、容量依存性とは言えず即効性もありません。

そのため、尿量が得られないときには別の利尿剤も併用します。

 

ハンプの二つ目の効果が血管拡張効果です。

アルドステロン分泌を抑制することによって血管拡張されます。

この血管拡張作用は容量に依存します。また、急性心不全で使用されるニトログリセリンとは異なり耐性を生じないというのもポイントです。

 

ハンプは利尿作用により体液循環量が減少、すなわち前負荷の軽減につながります。

また、血管拡張により後負荷の軽減にもつながります。

 

つまり、ハンプは心臓の前負荷・後負荷両方に対して効果のある薬なのです…!

 

また、ハンプは冠動脈の血流量を増加させることによる心筋保護効果もあります。

心不全治療にとっては欠かせないお薬と言えますね。

 

ハンプ投与時の注意点について

調剤・投与経路を考えるのが面倒…

ハンプは調剤時の注意が細かく、添付文書では5mlの蒸留水にといた後にブドウ糖液や生理食塩水に混注すれば24時間以内の混濁を生じないとあります。

インターネット等で見ると多くの施設が5%ブドウ糖液に混注しているようですね。

また、アミノ酸製剤や、ヘパリン等の薬剤との混合はできず単独投与が望ましいとされています。重症心不全等で他にも多くの薬剤が投与されているときや、ルートが採りにくいとき・足りないときに苦労させられるのがハンプです…

 

血圧の急激な低下に注意…

ハンプでは前負荷が少ない場合…つまり循環血液量が少ない場合に急激な血圧低下をきたすことがあります。添付文章においても右房圧が正常にある患者との記載があります。

 

ハンプ投与患者の看護

血圧の観察

ハンプは血管拡張作用がありますので血圧の変動に注意します。また、他の利尿剤と併用をしていたり、利尿がついている際は急激な血圧低下に注意します。

 

尿量の観察

どの程度のIN-OUTバランスが望ましいのかを考えながら尿量を見ていきます。

尿量が得られており血圧も適正な血圧が維持されていればハンプの減量についても医師へrecommendしていく必要があります。

 

うっ血初見の観察

ハンプの作用を鑑みれば、ハンプ投与患者は主にwet&warmな病態の心不全であることが多いと思います。

そこで、全身のうっ血初見が軽減していないかについて観察を行います。

(酸素化・呼吸音・浮腫・頸静脈怒張・皮膚の湿潤等…)

 

ハンプ終了に向けて

ハンプは静脈投与しかできず、内服がありません。そのため、「ハンプでコントロールができているから良い」ではなく早くハンプが切れないかといった視点からもアプローチしていく必要があります。ハンプ終了後はアルドステロン系の働きが高まるため血圧の上昇と心不全症状の増悪が懸念されます。そこで、ハンプを切る前からACE.ARBといった薬剤も投与しながらハンプをオフしていきます。

 

さいごに…

いかがでしたでしょうか?私自身1・2年目に嫌という程勉強したハンプですが抜けている知識も多くあり再度良い学習になったかなと思います。

少しでもみなさまの看護に役立てられたらと思います。

ありがとうございました。

 

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