心不全の看護に役立つクリニカルシナリオ1(CS1)についてのまとめや解説
クリニカルシナリオ1の病態や看護について
クリニカルシナリオ(以下CS)は主に収縮期血圧から心不全の病態を判断するためのツールです。
クリニカルシナリオ1ってどんな状態?
CS1は収縮期血圧が140mmhg以上ある状態とあります
クリニカルシナリオ1の主病態は急性肺水腫??
CS1はもともと心機能が低下しているところに、なにかの原因がきっかけで発症することが多いです。
逆にいうと今までは少しくらい心機能が低下してもなんとかなっていたということですね(代償期)
①まず初めに心機能(特に左の心臓)が低下していると体へ送り出す血液量(心拍出量)が低下しています。
②心機能が低下しているところへ何かのきっかけ(トリガー)が起こります。このトリガーは風邪であったりストレスであったり多岐に渡ります。
③交感神経の興奮により血管が収縮し静脈還流量が増します。これはつまりセントラルシフトにより前負荷が増加したといえます
(細静脈の血液は人間の血液の約80%以上といわれています)
これら①〜③の流れによって全身の血液が心臓へ集まり肺水腫をきたしてしまいます。
また、この機序は2〜3日で起こるといわれており、急速に悪化することが特徴です。
さらに、交換神経の興奮により抹消血管は収縮しており血圧が上昇します。
そのため、心臓にとっては後負荷が増大し心臓から血液を出しにくくなります。
こうした要因も肺水腫悪化の原因となります。
クリニカルシナリオ1の治療について
クリニカルシナリオ1の治療は硝酸薬と陽圧換気です。
硝酸薬
特に先ほどの病態にあるように、全身の血管が収縮していることが原因であるため硝酸薬を用いて血管の拡張を行います。
・静脈拡張→心臓に戻って来る血液量を減らす
・動脈拡張→心臓は血液を拍出するための抵抗が少なくなり、心拍出量は増加します。その結果、肺うっ血の改善につながります。
この静脈・動脈の拡張については、別記事にてわかりやすい図を使いまとめてあります。
血管拡張薬について勉強した記事を参考してください。
陽圧換気
陽圧換気は酸素化の改善を図るだけでなく、それに伴う交感神経の興奮を抑える働きもあります。また、胸腔内圧が上昇するため心臓へ戻って来る血液量の減少すなわち前負荷軽減にも繋がります。
心不全の薬は?利尿薬は使わないの?
硝酸薬と陽圧換気だけで良いの?心不全ってとりあえず利尿薬使わない?と思う方も中にはおられるかもしれません。
しかし、病態的にCS1は交換神経の興奮によって急性発症した肺水腫です。
うっ血といっても、全身の水分量が増えたというよりは、一局(心臓や肺)に集中しており体液の分布が中心に増えたということが原因です。
なので、利尿薬はかけずとも良いと書いてある本もあります。
しかし、臨床上前負荷の軽減のため利尿剤の投与を行うことをよく見かけます。
また、うっ血性の心不全においては血管拡張による後負荷の軽減と利尿作用を合わせて持っているハンプ(カルペリチド)もよく効果がありよく使用されますね。
ハンプについてはこちらの記事をどうぞ…
クリニカルシナリオ1の看護について
じゃあ、どんな看護をしたら良いの〜?と思いますよね。
そこで、私なりに少しだけ看護も書いてみます。
1.バイタルの観察
あたーりまえですがバイタルの観察が重要です。
心不全では少しの変化で重症化してしまうこともあります。
先ほども説明しましたが、全身の血管の収縮が症状に繋がっているので血圧に気をつけるとともに酸素化にも注意していきましょう。
2.末梢状態の観察
末梢を触れ皮膚が湿潤していれば、肺もうっ血している可能性があります。また、末梢が冷たければ心拍出量の低下や末梢血管抵抗の増加が予測されます。こういったところから全身の循環をアセスメントしていきます。
3.不安の軽減
CS1は急性発症によるものが多いです。そのため、患者は急な入院や治療に戸惑い不安を感じます。しかし、そういった不安は交感神経の興奮につながり血管収縮にもつながります。なので、細やかな対応を行い不安の軽減を行います。非侵襲的陽圧換気は患者によっては不快感を強く訴えます。そのため酸素化が落ち着いたときを見計らって十分なオリエンテーションやフィッティングの訓練を行うことが大切でしょう。
最後に
正直、もっと書きたいことはたくさんありますし書かなくてはと思うのですがこれ以上はまとまらないのでここらへんでやめたいと思います。
どうでしたでしょうか?看護師向けの本てクリニカルシナリオ1についてそこまで詳しくは書いてくれてない印象がありましたのでまとめてみました。