バクテリアトランスロケーションとは…

 少しマニアック…?

いやいや大事なお話です。

 

みなさんはバクテリアトランスロケーションという言葉を聞いたことがありますか?

 

私は基礎本的なことは知っていましたが、あまり詳しくはありませんでした…

そこで、今回はバクテリアトランスロケーションについて勉強してみました!

 

 

まだまだ知られていない…?

バクテリアトランスロケーションで検索すると

google scholarでは8件

ciniiでは3件しかありませんでした…!

 

ちなみにクリニカルシナリオでは

google scholarでは80件

ciniiでは26件

 

いやあ〜全然ないですね…

これは英語論文にも手をださなきゃだなあと思い萎えちゃいました笑

 

Bacteria Translocationだと…

google scholarでは349000件

ciniiでは130件と文献は少なさそうですね…

 

バクテリアトランスロケーションとは…

細菌・真菌などの病原成分が消化管粘膜上皮を通過して生体内に侵入する現象です。

つまり、これが原因で敗血症などの重篤な合併症を引き起こす原因になり得るのです…

 

バクテリアトランスロケーションの起こる条件

・常在細菌の破綻とその結果としてのグラム陰性菌異常増殖

・宿主免疫防御能の障害

機械的、機能的腸管バリア機能の消失

 

これらがバクテリアトランスロケーション発生に関連するとされているようです。

 

また、ショック 外傷 敗血症による腸管障害によって腸管がサイトカインの産生臓器となることや腸管膜の微小循環が循環好中球の母床であるらしいです…

なんだか難しいですね笑

 

バクテリアトランスロケーションを防ぐためには…

 

まずあげられるのが経腸栄養です!

経腸栄養行うことで消化管の状態を正常に近づけることができます。

それによって、バクテリアトランスロケーションの予防を行うことができるとされています。

そのため、状態が落ち着いた場合は医師に栄養面についての提案ができると良いですよね!

 

次がSDD(選択的消化管除菌)と呼ばれるものです。

これは非吸収性抗菌薬を消化管に投与しバクテリアトランスロケーションの原因となる菌の増殖を抑制するといったものです。

これも経管チューブなどからの投与を行うだけなので比較的簡単に行えます。

 

じゃあ、術後などは感染予防のために皆SDDをすれば良いのでは?と思いませんか?

しかし、MRSAなどの感染症が多い国や地域ではSDDの効果は低いとの研究データもあります。

また、不用意にSDDを行うことで新たな耐性菌を生み出してしまう危険性もあるのです。そのため、中々行われてはいないみたいです…

 

まとめ

どうでしたでしょうか?

バクテリアトランスロケーションという少し聞きなれない?(私が無知なだけかも)について勉強してみました。

人間での研究は進んでおらずエビデンスも不確かなことが多い内容でした…

集中治療領域などでは栄養面は二の次になってしまうこともありますが、今一度患者さんの栄養面についてのアセスメントもしっかりと行いたいなと思わされました。

 

お付き合いいただきありがとうございました!

 

参考文献

・bacterial translocationの病態とその対策 日本腹部救急医学会雑誌 23 (3): 455~461,  2003 谷 徹 

・Brachyspira pilosicoli 感染性腸炎による敗血症の 1 例  日本消化器内視鏡学会雑誌  Vol. 57(1), Jan. 2015 山口太輔

 

新人循環器看護師が買うべき参考書3選!

 

 

 

 何を買ったらよいかわからない、循環器の基礎が知りたいという質問をよく耳にします。

私が個人的にお世話になった本をまとめてみました。

 

 

 

関連図で理解する循環機能学と循環器疾患のしくみ―病態生理,疾患,症状,検査のつながりが見てわかる

関連図で理解する循環機能学と循環器疾患のしくみ―病態生理,疾患,症状,検査のつながりが見てわかる

 

 

 

この本は血圧とは…?という基本的なことから主要な疾患について載っています。

さらに、関連図が細かくのっておりAによってBになりそれに伴いCの反応がでる

といった具合に説明されています。

そのため、疾患とそれに関する全身の反応を理解することができます。

また、疾患1つに対して見開き1ページで説明されるのもわかりやすいですね。

嫌なところは少し大きいところでしょうか…

 

お次はこちら

 

 

この本は看護師がいきなり読むと少し難しいかなと思うかもしれません。

なぜかというと、物理的に心臓の壁にかかる圧力やそれに伴う心臓の変化や症状について考える本となっているからです。

 

なので、物理的なグラフや表が多く記載されていますので眠くなるかも…

 

しかし、内容はとても面白く病態の知識を深め看護に役立つことでしょう。

とくに、多くの循環器疾患が引き起こす心不全という状態には強くなります。

心不全が苦手な方は頑張って読んでみると心不全が好きになるかもしれませんね。

 

最後はこちらです

 

循環器看護ケアマニュアル

循環器看護ケアマニュアル

 

 

その名の通り循環器看護ってなに?

どうしたら、良いの?ということが書かれています。

上の2つの本は病態が中心ですがこちららは看護ケアがよーく書かれています。

どんな看護が必要なの?

これが知りたい人におすすめの本となっております。

 

どーでしたでしょうか。

もう、1年終わりますが勉強しなきゃなと思っている1年目やこれから循環器病棟に行く予定の学生さんも見てみてはどうでしょうか…

 

あ、学生さんはまずは国試か!

頑張ってくださーい

 

 

 

 

 

 

新人看護師や実習に役立つ!カテコラミン(カテコールアミン)製剤の種類は?

 

急性期病棟や循環器病棟でよく使用されるカテコラミン製剤…

しかも、先輩看護師や医師はなにやら緊張感をもって扱っているように感じます…

大切な薬みたいだけどよくわらないし、「こんなことも知らないの?命に直結する薬なんだよ!」と怒られそうで怖くないですか?実は私も最初怖かったです…笑

というわけで、今回はカテコラミン製剤についてお話ししていきます。

 

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カテコラミンてなに?

 

よく病棟などで言われるカテコラミン製剤ですがカテコラミンとは副腎髄質ホルモンの総称のことで一般的にアドレナリンノルアドレナリンドパミンが知られています。

まあ、ホルモンなんですね、簡単に言うと~

 

そして、カテコラミンの分泌を担う副腎髄質は交感神経で支配されていますので、交感神経の緊張に左右されます。

 

カテコラミンは末梢血管・心臓・気管支等にあるカテコラミン受容体に働きかけます。

これによって全身の状態が変化します。

どこの受容体に作用するか、どういった作用があるのかについてはそれぞれのカテコラミン製剤によって変わります。なので、それぞれのカテコラミン製剤の特徴を知っておくことが大切ですね。

ちなみに今回の記事を書くにあたり特に参考にした本はこちらです!

もっと詳しく知りたい方はこちらを是非…!

 

カテコラミン受容体ってなに?

カテコラミンをキャッチして作用する受容体です。

この受容体の作用によって血管や心臓の働きが変化します。

受容体は大きくα受容体とβ受容体に分けられます。

そして受容体はさらに細かく分かれα受容体はα1受容体とα2受容体に

β受容体はβ1受容体・β2受容体・β3受容体の3種類に分類されています。

 

同じα受容体でも作用する部分や作用は異なります。

簡単な図を作りましたので参考にしてください。

 

受容体

臓器

反応

α1

        血管平滑筋  

    泌尿器平滑筋  

心臓

収縮

収縮

 心収縮増大・不整脈  

α2

膵臓(β細胞)

インスリン分泌低下

β1

            心臓    

腎臓

心収縮・心拍数増大・房室電動促進   

レニン分泌増加

β2

気管平滑筋

   血管平滑筋   肝臓

      弛緩  

グリコーゲン分解・糖新生

β3

 脂肪細胞

脂肪分解

 

病態によって作用してほしい受容体が異なります。

それに合わせて薬剤の選択をするというわけですね。

 

 

カテコラミンの種類について

では、実際にカテコラミンはどのようなものがあるのでしょうか?

臨床で良く使用するカテコラミンは主にアドレナリン・ノルアドレナリンドパミン・ドブタミンなどがあります。

 

簡単にまとめるとこんな感じになります。

スマホの方は右へスクロールしてください

 

アドレナリン

アドレナリン

ドパミン

ドブタミン

作用する受容体

強力なα1 β1    β2作用もあり

強力なα1 β1

β1作用

強力なβ1作用

作用する受容体

ショック時の補助    心停止の補助      気管支痙攣緩解    

敗血症ショックなどの末梢血管抵抗低下状態    循環動態の改善がされない場合

血圧低下時       尿量低下時

心不全時の強心のため  収縮期血圧90mmhg以上だが血圧低下が危惧される場合

作用する受容体

低容量では血管拡張作用あり           容量増加に伴い血管収縮と脈拍数増加効果がある  β2による気管支拡張作用によって喘息などにも使用されることがあります

強力な末梢血管収縮作用あり それに伴い血圧増加作用もあるが末梢循環不全などの注意も必要

低容量2~3γで利尿効果     2~10γで心収縮増強・脈拍増加・血管収縮効果あり   10γ以上でも血圧が低い場合は他のカテコラミン製剤の使用やIABP使用を検討する

心収縮力増加と末梢・肺血管拡張         心機能増加に伴い心臓内の血液うっ滞を改善さらに肺うっ血の改善      末梢血管抵抗を下げることによって後負荷の軽減と心拍出量増加         しかし、末梢血管抵抗を軽減に伴う血圧低下の可能性もあり

作用

頻脈

不整脈

末梢循環

臓器障害の悪化

心筋酸素消費量の増加

不整脈     麻痺生イレウス

β遮断薬使用患者では効果が軽減 肥大型心筋症では症状悪化を招く恐れあり

 

まとめるとこのような感じですね。

多くが血圧が低い時などに使用することがわかりますね。

しかし、血圧が低い原因によって使用するカテコラミンは違います。

また、薬剤の使用量γ数によって効果が増強したり作用が変わるものもあります。

使用量が増加すれば不整脈などの副作用のリスクも高くなりますので注意が必要です。

 こちらの本に詳しくのってます

 

カテコラミン投与中の看護

1)点滴ルートに注意する

カテコラミンは血管収縮作用があります。そのため血管漏れをした際には血管収縮作用によって周囲が虚血状態に陥る可能性があります。そのため点滴ルート挿入周囲は注意深く観察する必要があります。

 また、末梢ルートからのカテコラミン投与は72時間いないが好ましいという文献もあります。カテコラミン投与が長期に及ぶ場合は中心静脈ルートの確保の検討が必要です。命に直結する薬剤ですので医師に中心静脈ルート確保を提案することも必要ですね。

 

2) 急速投与に注意

 カテコラミン製剤は急速投与によって不整脈の出現や血圧上昇を引き起こしてしまいます。そのため、カテコラミンを静脈投与する場合は輸液ポンプやシリンジポンプを使用します。カテコラミン投与ルートの側管から新しく薬剤を始めることは危険です。新しく薬剤を開始するときはカテコラミンを急速投与する恐れがないか注意する必要があります。

 

3)末梢循環動態に注意しましょう

カテコラミン特にノルアドレナリン末梢血管を収縮させて血圧を上げる作用があります。そのため敗血症ショックといった末梢血管抵抗が少ない状態に適しています。しかし、長期の使用や高容量であると末梢の循環が阻害され虚血状態になってしまいます。

これによって、末梢の色調悪化や冷感が生じ酷い場合は壊死してしまう恐れもあります。

そのため、足背動脈や後脛骨動脈といった末梢動脈の触知確認冷感色調悪化の有無を観察する必要があります。

 

カテコラミンまとめ

どうでしたでしょうか?今回はカテコラミンについて大雑把にですがまとめてみました。

今後時間があればそれぞれのカテコラミンについても詳しくまとめたいです。

少しでも日々の看護は実習に役立てたら嬉しいです。

 

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カテコラミンの逆?血圧を下げる血管拡張薬についてはこちら
gachi-gachi.hatenadiary.jp

 

クリニカルシナリオ3について

こんにちはGACHIです。

今回はクリニカルシナリオ3(以下CS3)についてお話しします。

 

CS3とは…?

CS3は収縮期血圧が100mmhg未満の状態の心不全のことです。

 

血圧は心拍出量と抹消血管抵抗によってほとんど決まります。

 

つまり血圧が低いということは心拍出量が低下しているor抹消血管抵抗が低下しているということが考えられます。

 

抹消血管抵抗が低下しているのは交感神経によるものであったり、敗血症などがよくありますね。

今回は心不全ですので心拍出量が低下しているということになります。

 

CSの症状は?

主病態は心拍出量低下に伴う低還流です。

そのため、四肢の冷感やチアノーゼが生じる場合もあります。

また、心拍出量低下に伴い尿量の低下を認めることもあります。

さらに、倦怠感や食欲不振を訴えることもあります。

私の経験になりますが、食欲不振はCS3の患者では重要であり嘔気や嘔吐する方もいる印象です。

一方でCS3はうっ血はあまりみられません

 

CS3の治療は?

 

CS3は心拍出量が低下している状態です。

つまり、心拍出量を高めるような介入を行うことが状態改善につながるというわけです。

 

心拍出量は前負荷(循環血液量)、心収縮力、後負荷、心拍数の4つが大きく作用しています。

 

そこで、CS3の場合体液貯留(うっ血)がみられていない場合は輸液を投与し前負荷を上げます。

これにより、心収縮力の増強を行い心拍出量及び血圧の増加を狙います。

 

なぜ、前負荷の増加を第1に行うかというと通常(健常者)では前負荷を増加させることが一番心拍出量を増加させるからです。

 

輸液だけで状態が改善すれば良いのですが、心不全の患者ではそれだけでは中々心拍出量は増加しないことも多々あります…

また、負荷だけしていても尿量が得られていなければ全身へのうっ血をきたしてしまう恐れもあります。

 

そこで、血圧の上昇がみられなければ強心剤(カテコラミンやPDD-Ⅲ阻害薬)の使用も行います。

状態によって使用する薬は変化します。

そのため作用や違いを覚えておく必要がありますね。→今度やる気があったらまとめてみます笑

 

CS3の看護について

基本的な全身状態の観察はCS1とCS2とは大きく変わりません。

さらにら追加という形にしたいと思います。

 

 

 

 

CS3では血圧が低い状態ですよね。ということはつまり心原性ショックに陥りやすいということでもあります。

そのため、カテコラミンや輸液の休息投与が行えるような静脈ルートを確保しておきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

クリニカルシナリオ2(CS2)についての病態や看護のこと

 

こんにちは〜

今日はクリニカルシナリオ2(以下CS2)について

かるーく記載してみたいと思います。

 

 

 

クリニカシナリオ(CS2)ってなに?

f:id:hailanddsk:20171113082435p:plain

クリニカルシナリオ2の定義は収縮期血圧が100〜140mmhgです。

そして、その主病態は全身における浮腫です。

CS2は塩分や水分の摂取により徐々に全体の水分量が増加します。

その結果、全身の静脈にうっ滞することで全身性のうっ血を起こします。

CS2は実際に体重も増加してることもあり、慢性心不全の増悪である場合もあります。

肺へのうっ血はCS1ほど強くないため呼吸困難は比較的少ない印象です。

しかし、全身の臓器にもうっ血するため臓器障害が起こることもあります。

 

CS2の症状は

・肺水腫(CS1よりも軽度)

・浮腫

・肝機能障害

・腎機能障害

・低アルブミン血症

などです

 

CS2の治療について

 

CS2の治療はCS1と同様に陽圧換気と硝酸薬です。

また、それに追加して全身性の体液貯留がある場合は利尿薬を投与します。

 

 ここで、初めて利尿薬が登場しましたね笑

しかし、ここでも体液貯留がある場合と但し書きがあります。

 

やはり、陽圧換気と硝酸薬を使用して前負荷と後負荷を軽減し全身のうっ血を解除することが大切ということでしょうか。

 

しかし、実際はそれだけで上手くいくことはなく、利尿薬の力を借りることになるイメージです

 

CS2の看護について

 呼吸の管理

CS2では肺うっ血の度合いはCS1に比べて少ないとのことですが、決してないというわけではありません。

そこで、呼吸回数や呼吸様式、呼吸音、SAT、血液ガスデータの観察を行っていくことが必要です。

 

循環動態の管理

CS2では血圧つまり後負荷が高いことによってうっ血が生じている場合があります。そのため硝酸薬を使用します。

CS2は全身の水分量が増加しているため利尿が必要になることがあります。しかし、体うっ血の影響により腎機能の低下も起きている可能性もあります。

そこで、血圧は尿量も観察しながら適正血圧を考えていくことが必要であると思います。

 

IN-OUTバランスの管理

全身の水分量過剰がおきているCS 2ではIN-OUTバランスの管理がとても重要となります。CVやスワンガンツカテーテルが挿入されている場合はCVPなどの圧の変動も観察しながらうっ血の改善が図れるようにしていきます。 

また、水分の引きすぎにも注意が必要です。脈拍の増加やCVP値の低下や血圧低下。尿量の減少や尿比重の変動などを観察し水分の引きすぎにも注意していきましょう。

さらに医師にエコーを当ててもらい血管内に水分があるかを観察してもらうよう依頼をすることも有効な対応であると思います。

医師など他のスタッフとともに今後の治療方針を考えていけるとかっこいいですよね。

 

 

心不全の看護に役立つクリニカルシナリオ1(CS1)についてのまとめや解説

 

クリニカルシナリオ1の病態や看護について

 

クリニカルシナリオ(以下CS)は主に収縮期血圧から心不全の病態を判断するためのツールです。

 

 

クリニカルシナリオ1ってどんな状態?

CS1は収縮期血圧が140mmhg以上ある状態とあります

 

 

クリニカルシナリオ1の主病態は急性肺水腫??

CS1はもともと心機能が低下しているところに、なにかの原因がきっかけで発症することが多いです。

逆にいうと今までは少しくらい心機能が低下してもなんとかなっていたということですね(代償期)

 

①まず初めに心機能(特に左の心臓)が低下していると体へ送り出す血液量(心拍出量)が低下しています。

②心機能が低下しているところへ何かのきっかけ(トリガー)が起こります。このトリガーは風邪であったりストレスであったり多岐に渡ります。

③交感神経の興奮により血管が収縮し静脈還流量が増します。これはつまりセントラルシフトにより前負荷が増加したといえます

(細静脈の血液は人間の血液の約80%以上といわれています)

 

これら①〜③の流れによって全身の血液が心臓へ集まり肺水腫をきたしてしまいます。

また、この機序は2〜3日で起こるといわれており、急速に悪化することが特徴です。

 

さらに、交換神経の興奮により抹消血管は収縮しており血圧が上昇します。

そのため、心臓にとっては後負荷が増大し心臓から血液を出しにくくなります。

こうした要因も肺水腫悪化の原因となります。

  f:id:hailanddsk:20180603185914p:plain

クリニカルシナリオ1の治療について

クリニカルシナリオ1の治療は硝酸薬と陽圧換気です。

 

硝酸薬

特に先ほどの病態にあるように、全身の血管が収縮していることが原因であるため硝酸薬を用いて血管の拡張を行います。

・静脈拡張→心臓に戻って来る血液量を減らす

・動脈拡張→心臓は血液を拍出するための抵抗が少なくなり、心拍出量は増加します。その結果、肺うっ血の改善につながります。

 

この静脈・動脈の拡張については、別記事にてわかりやすい図を使いまとめてあります。

血管拡張薬について勉強した記事を参考してください。

gachi-gachi.hatenadiary.jp

 陽圧換気

陽圧換気は酸素化の改善を図るだけでなく、それに伴う交感神経の興奮を抑える働きもあります。また、胸腔内圧が上昇するため心臓へ戻って来る血液量の減少すなわち前負荷軽減にも繋がります。

 

心不全の薬は?利尿薬は使わないの?

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硝酸薬と陽圧換気だけで良いの?心不全ってとりあえず利尿薬使わない?と思う方も中にはおられるかもしれません。

しかし、病態的にCS1は交換神経の興奮によって急性発症した肺水腫です。

うっ血といっても、全身の水分量が増えたというよりは、一局(心臓や肺)に集中しており体液の分布が中心に増えたということが原因です。

なので、利尿薬はかけずとも良いと書いてある本もあります。

しかし、臨床上前負荷の軽減のため利尿剤の投与を行うことをよく見かけます。

 

また、うっ血性の心不全においては血管拡張による後負荷の軽減と利尿作用を合わせて持っているハンプ(カルペリチド)もよく効果がありよく使用されますね。

ハンプについてはこちらの記事をどうぞ… 

gachi-gachi.hatenadiary.jp

 

クリニカルシナリオ1の看護について

f:id:hailanddsk:20171113093217p:plain

じゃあ、どんな看護をしたら良いの〜?と思いますよね。

そこで、私なりに少しだけ看護も書いてみます。

 

1.バイタルの観察

あたーりまえですがバイタルの観察が重要です。

心不全では少しの変化で重症化してしまうこともあります。

先ほども説明しましたが、全身の血管の収縮が症状に繋がっているので血圧に気をつけるとともに酸素化にも注意していきましょう。

 

2.末梢状態の観察

末梢を触れ皮膚が湿潤していれば、肺もうっ血している可能性があります。また、末梢が冷たければ心拍出量の低下や末梢血管抵抗の増加が予測されます。こういったところから全身の循環をアセスメントしていきます。

 

3.不安の軽減

CS1は急性発症によるものが多いです。そのため、患者は急な入院や治療に戸惑い不安を感じます。しかし、そういった不安は交感神経の興奮につながり血管収縮にもつながります。なので、細やかな対応を行い不安の軽減を行います。非侵襲的陽圧換気は患者によっては不快感を強く訴えます。そのため酸素化が落ち着いたときを見計らって十分なオリエンテーションやフィッティングの訓練を行うことが大切でしょう。

 

最後に

正直、もっと書きたいことはたくさんありますし書かなくてはと思うのですがこれ以上はまとまらないのでここらへんでやめたいと思います。

どうでしたでしょうか?看護師向けの本てクリニカルシナリオ1についてそこまで詳しくは書いてくれてない印象がありましたのでまとめてみました。

 

クリニカルシナリオについて…

今回も心不全についてお話しします。

 

今回は少し臨床看護師向けです。

表題にあるようにクリニカルシナリオについて少しお話ししたいと思います。

 

心不全はとても複雑で様々な要因によって起こる病態です。

 

そのため、分類方法もいくつか種類があります。

 

・Forrester分類

・Nohria-stevensin分類

・NYHA(New York Heart Association)

・AHA/ACC (American Heart Association / American College of Cardiology)ステージ

などです。

 

数々ある中でも今回クリニカルシナリオ(以下CS)についてお話しする理由は2つあります。

 

①基礎的な教科書にはあまり載っていないこと。

②臨床で非常に良く使う(特に急性期)

これらのため、働き始めた当初は患者の心不全について十分に理解できていませんでした。

といっても、これはあくまで私の主観によるところが多いのですけれどね〜

 

という一応私なりのエビデンスにのっとりこれからCSについて説明していきます。

 

 

えークリニカルシナリオ(CS)は一応下のような図によって分類されています。 

 

f:id:hailanddsk:20171107235306p:plain

 先ほどCSについて分類と書きましたが、実はCSは「血圧を参考にした初期治療を開始するためのアプローチ」として提案されたものです。

つまり治療をいち早く行うために、心不全の病態を簡単に分けちゃおうよって話です。

そして、この表を見ていただくとわかるように、CS1〜3は収縮期血圧よって心不全の病態を見分けるのです〜!

 しかし、実際はこ血圧だけで心不全の病態を見るのではなく、全身状態を合わせて観察します。

患者さんによって血圧は個人差がありますからね〜

同じ血圧でも患者さんによってはCS1のひともいれば2の人もいるかもしれないということです。

なので、臨床では血圧はあくまで目安といった感じなのでしょうか…?

 

という話をここまでしたところで、じゃあ各クリニカルシナリオについて詳しく知らないと上手く使えないじゃん!という話になりますよね笑

そこで、各クリニカルシナリオの特徴を次回のブログで話していきたいと思います〜

 

 

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